抄録
背景と目的:全身性エリテマトーデスなどの自己免疫疾患の病態とinterferon signatureの関連性が近年注目を集めている。そこで、自己免疫応答に重要なB cell activating factor (BAFF)の産生制御におけるtoll-like receptor (TLR)およびI型interferon (IFN)の関与を検討した。方法:健常人末梢血単核球を各種TLR ligandにて刺激後の培養上清を回収し、THP-1細胞株に添加し、72時間後に培養上清を回収。各培養上清中のIFN-alpha、BAFF濃度をELISAにて測定。結果:無刺激健常人末梢血単核球はIFN-alphaを産生せず、TLR7 ligand (R-837、R848)、TLR9 ligand (CpG DNA)刺激により有意なIFN-alpha産生を認めた。一方、TLR4 ligandであるLPS刺激はIFN-alpha産生を増加させなかった。LPSと各TLR7 ligand間には相乗効果はなく、LPSとCpG DNA間には有意な相乗効果が認められた。これらの培養上清は濃度依存性にTHP-1細胞のBAFF産生を増加させ、抗I型IFN受容体抗体の同時添加により、BAFF産生は有意に抑制された。結論:TLR刺激はI型IFN産生を介してBAFF産生を誘導し得ることが示された。かかるB活性化経路と自己免疫病態の関連性を今後検討し報告する。