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まず、初めに紹介するのはiReportという帳票デザイン・実行環境です。第1回の適用事例で紹介した「不動産物件管理システム」で使用したものです。 | |
iReportとは | |
iReportはJasperReports(注1)のデザイン・実行環境で、SourceForget.netで開発が行われているオープンソースのツールです。 iReportでは帳票のデザインテンプレート(以降テンプレートXML)をGUIで作成し、作成したテンプレートXMLをJasperReportsに読み込ませることで、帳票を出力しています。テンプレートXMLの作成に関する説明ではJasperReportsを意識することはあまりありませんが、実際にJavaアプリケーションやサーブレットへ組み込む場合にはJasperReportsを利用することになりますので、iReportとJasperReportsの関係を理解しておいてください。 | |
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※注1:JasperReportsとは同一のテンプレートXMLからPDF、HTML、Excel等での帳票作成が可能なライブラリです。iReport、JasperReportsそれぞれの詳細については以下のURLを参照してください。
iReport:http://ireport.sourceforge.net/ JasperReports:http://jasperreports.sourceforge.net/ | |
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iReportに適した帳票 | |
iReportで作成する帳票は、内部にグラフを含ませて、分析系の帳票として使用することも出来ますが、定型帳票の請求書、発注書、受注書などに適しています。Excelでの出力も出来るので、分析系の非定型の帳票にも使えるのではないかと、思われる方もいるかと思いますが、iReportのExcel出力では見た目は同じようになるものの、シートの行、列のレイアウトが崩れてしまうため、出力されたExcel上でデータを加工するといった用途にはあまり向いていません。 |
iReportに触れる |
それでは、必要な設定を行い、iReportによる帳票作成の流れを見て行きます。 |
インストール |
インストールはiReportのプロジェクトページ(http://ireport.sourceforge.net/)からiReport-0.4.1.zipをダウンロードして、任意のディレクトリに解凍するだけで完了です。解凍したディレクトリのiReport.batを実行するとiReportが起動し、図1の画面が表示されます。 |
![]() 図1:iReportの起動画面 |
なお、本連載では表1の環境を使用しています。 |
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表1:実行環境 |
初期設定 |
初めに、iReportのメニューを日本語に設定します。メニューから「Tools→Options」を選択し「General」タグを選択します。「Language」で"日本語"を選択し、「Apply」を押すとメニューが日本語になります(図2)。「Save」を押して設定を保存しておくと次回起動時からはメニューが日本語になります。 |
![]() 図2:日本語の設定 |
次に、帳票の出力結果を確認するための設定を行います。本連載ではPDFで出力を確認しますのでメニューから「ビルド」を選択し「PDF プレビュー」にチェックします。次に、メニューから「ツール→オプション」を選択し、「External programs」タグを選択します。「PDF Viewer」に、使用するビューアの実行ファイルへのパスを設定します(図3)。 |
![]() 図3:PDFビューアの設定 |
基本説明 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
それではまず、iReportの画面および基本的な操作方法について説明します。iReportのメインウィンドウは図4のような構成になっています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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図4:iReportのメインウィンドウ | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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表2:アイコン一覧 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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表3:バンド一覧 |
帳票作成 |
では、さっそく"Hello World"と表示する帳票を作成してみましょう。まずメニューから「ファイル→新規ドキュメント」を選択し、「レポート名」に"Hello World"と入力して「OK」を押します。 |
![]() 図5:ドキュメントの作成 |
次に、「テキストアイコン」を選択し、デザイン編集エリアのtitleバンドに配置します。配置したテキスト領域をダブルクリックし、「Static Text」タグを選択して"Hello World"と入力します。 |
注2:バンドをまたいでコンポーネントを配置するとコンパイル時にエラーとなりますので、バンドにおさまらない場合はバンドの境界線を選択してバンド領域を広げてください。 |
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![]() 図6:実行画面 |
これでテンプレートXMLの作成は完了ですので、「保存アイコン」を押してテンプレートXMLを任意の場所に保存します。保存後、「実行アイコン(空データソース)」を押すとテンプレートXMLがコンパイルされ"Hello World"と文字が入ったPDFが出力されます。 |
まとめ |
シンプルな例でしたが、下の表4の流れは変わりませんので、テキスト以外のコンポーネントも色々と配置して試してみてください。次回以降は実際での利用を想定して、データソースやパラメータといった外部リソースとのデータのやり取りを中心に説明します。 |
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表4:レポート作成の流れ |