適度に運動したほうが勉強は、捗る。このことは、誰でも経験的に感じていると思いますが、医学的にも裏づけがあります。
勉強をしているときに使っているのは、脳全体のうち、ほんのごくわずかに過ぎません。とかく頭脳は考えるための臓器だと思われがちですが、こうした知的な思考を司っているのは、前頭葉の一部分だけです。全身の感覚を処理するとか、全身の運動をコントロールするなど、脳は実に多様な動きをしています。
長時間にわたり勉強をやり続けていると、脳の一部分だけを酷使して疲労をもたらすことになります。一方、多様な脳のうちほかの部分は休止した状態が続きます。結果として、脳全体の活力は落ちてしまうのです。
それに対して、適度に運動を行うと脳全体がバランスよく活性化します。これによって、より多くの脳細胞を学習に利用しやすくなります。第4章で詳しく説明しますが、より多くの脳細胞の回路を用いたほうが、記憶力も高まりますし、記憶の定着も格段に向上します。
よく小さな子供が、とんだりはねたりしながら言葉を覚えていく様子を目にします。それに比べ、大人は机に向かって勉強を集中し、記憶しようとします。一見、大人のやり方のほうが効率はよいように思われるかもしれません。しかし、結局は子供のほうが、はるかに早いスピードで言葉などを覚えていきます。その理由の一つは、子供は、より多くの脳細胞のネットワークを使いながら学習しているということです。言語中枢だけではなく、感覚情報を処理する中枢、運動命令を発する中枢、さまざまな運動を調節する中枢。こうした直接、学習には関係ないと考えられがちな脳の部位まで総動員して記憶していくのです。医学的的には子供の学習方法に軍配が上がります。
また、学習にはストレスの管理も重要です。運動不足のまま机にばかり向かっていますと、ストレスが溜り、学習効率はドンドン落ちって行きます。ほんの少しでも時間があれば休まず勉強を続けたいという熱心な方もいらっしゃるでしょう。しかし、確実に結果を出すには、「急がば回れ」です。しっかりと運動もやりストレスを充分に追い出して、脳をベストの状態にした上で勉強しましょう。
<単語>
捗る はかどる 进展
裏付ける うらづける 印证、支持、保证
とかく 种种,这个那个,这样那样,不知不觉之间,动不动,动辄,总是
司 つかさ 衙门,官署,有司,官吏
前頭葉 ぜんとうよう
酷使する こくしする 任意驱使,残酷使用
格段 かくだん 特别;非常
飛ぶ とぶ 快跑
跳ねる はねる 跳;跳跃;散戏;散场;溅;飞溅;(车)撞(人)
一見 いっけん 看一次;看一眼;一瞥;乍看;初看;初次的(顾客)
中枢 ちゅうすう
軍配 ぐんばい 指挥;部署;指示;命令
軍配が上がる 得胜;优胜
溜まる たまる 积压,停滞,积攒,积存
急がば回れ いそがばまわれ 欲速则不达