――技術的には、どのようなテーマがあるのでしょうか?
分かりやすくいうなら、百発百中のテストを目指しています。そのためには、バグのある個所だけをテストしてやればよいわけです。実際にはそうはいきませんから、それに近づくための研究をやっています。
1つは、バグのナレッジマネジメント。バグの気持ちになる研究といってもよいかもしれません
。どういうバグがどういう状況でどういう場所に入り込みやすいのかといったことを分析して、開発側とテスト側で情報を共有できるナレッジマネジメントを考えています。
2つ目は、開発とテストを同時に始める、もしくはなるべく早い段階でテストを始めるというものです。例えば、要求分析で出てきた要件を基にテストを設計
したり、アーキテクチャ設計で採用されたデザインパターンからバグの入り込みやすいテスト項目を狙っていきます。開発と同じように、テストも非常に粗いと
ころから始めて粒度を細かくしていくわけです。グレーボックステストと呼んでいますが、コンカレント開発と呼んでもよいかもしれません。
こうしたテストの工数を減らすための非常に重要な方法は自動化をすることです。そのためには、すでに開発の段階で自動テストツールを使ってテストをでき
るように設計する必要があります。それは別に変わった考え方ではなくて、例えば半導体では、動作をチェックするための端子のようなものが設計の段階から必
ず組み込まれています。また、この自動テストツールをいかに効率的に活用するかというのも研究のテーマとなっています。